星空新着情報 Starry News
【2022年】4月の天文現象 -ほぼ同じ明るさの2惑星の接近を見てみよう!-
- 投稿日
- 2022.04.01
- カテゴリー
- 星空情報
クレジット:国立天文台
2022年3月の星空情報です。
空が暗くなった宵の時間帯、月初めは、まだ冬の明るい星々が南から西の空で目立ちます。
下旬になると春の星々が南から東の空を飾るようになります。
29日に東方最大離角となる水星が、この前後の期間の夕方の西空で今年一番の観察チャンスを迎えます。
明け方の東の空では、金星、火星、土星の3惑星が並び、5日には火星と土星が接近します。
下旬になると、さらに木星が加わります。
25日から28日にかけては、月が、土星、火星、金星、木星と次々に接近し、にぎやかな明け方の空となりそうです。
火星と土星の接近
クレジット:国立天文台
3月中旬に、明け方の南東の低空で金星と火星が比較的近づいて見えていましたが、3月下旬になってこれに土星が加わりました。
そして4月上旬には、火星と土星が接近して見られるようになります。
最も近づいて見えるのは4月5日の明け方で、2つの惑星の角距離(見かけの間隔)は約20分角です。
これは、満月の中に2つの惑星がすっぽりと入る程の距離です。
この時、火星の明るさは1.0等、土星の明るさは0.8等と、土星の方が少々明るいのですが、その差は0.2等とわずかです。
惑星同士の接近では、明るさに差がかなりある場合が多いのですが、今回はほとんど同じ明るさの惑星同士が並んで見えることになります。
また白っぽく見える土星に対して、火星は赤みを帯びた色に見えますので、色の対比に注目してみましょう。
なお、これらの惑星の見える位置は高くなく、観察には東から南東にかけてよく見渡せる場所が必要です。
各惑星が昇ってきて、かつ東の空が明るくなる前の日の出1時間前の頃が見やすいと思われますが、探しているうちに空が明るくなってしまうとどちらの惑星も見えにくくなってしまうため、少し前から観察するようにしましょう。
マイナス4.3等の金星が近くで明るく輝いていますので、良い目印になります。
空では近づいて見える火星と土星ですが、地球から見た場合にたまたま同じ方向に見えているだけで、実際の惑星までの距離には相当大きな差があります。
4月5日の地球からの距離は、火星までが約2億7千万キロメートル(約1.8天文単位(注))なのに対して、土星までは約15億7千万キロメートル(約10天文単位)で、土星の方がおよそ6倍も遠くにあります。
そのような太陽系空間の奥行きも感じながら、観察してみてはいかがでしょうか。
月が土星、火星、金星、木星に接近
クレジット:国立天文台
明け方の空には、4月上旬から土星、火星、金星が見えていましたが、下旬になるとこれに木星が加わり、いっそうにぎやかになります。
南東から東にかけて、空の高い方から土星(約1等)、火星(約1等)、金星(約マイナス4等)、そして木星(約マイナス2等)の順に並ぶ光景は、とても見応えのあるものとなるでしょう。
4月25日から28日にかけて、これらの惑星たちに月が次々と接近していく様子を観察できます。
月は、25日に土星、26日に火星、27日に金星と接近していきます。
特に27日の月は、金星のそばに輝く木星にも近く、また木星とほぼ同じ高さに見られます。
明るい3天体が目を引くことでしょう。
月と木星とは28日の方が近づいて見えますが、月が木星よりもさらに低い位置になるため見づらくなります。
ただ、木星や、そのそばに見える金星はとても明るい天体ですので、空が多少白んできてからでも見られます。
月が昇ってきて見やすくなるまで少しの時間を待つことで、28日も月と金星、木星の共演が楽しめそうです。
4日間にわたってとてもにぎやかになる明け方の空にご注目ください。
水星が東方最大離角
クレジット:国立天文台
水星は、太陽に最も近い惑星です。
水星より外側をまわる地球からは、いつ見ても水星は太陽からあまり離れず、とても見づらい天体の一つです。
しかし、4月29日には東方最大離角となり、この日前後に日の入り直後の西の低空で見つけやすくなります。
東京における日の入り30分後の水星の高度は、4月29日が最も高く13度台で、10度を超える期間は4月20日から5月7日にわたります。
他の地域でも大きな違いはなく、水星を観察できる、今年いちばんのチャンスとなります。
今年いちばんのチャンスと言っても、水星は低い空に見えますので、西北西が開けた場所で観察する必要があります。
低空に雲のない、良く晴れた日が観察には最適です。
しかし、夕焼けが残るほのかに明るい空で水星を探すのは少し難しいかもしれません。
そのような時は、双眼鏡を使うと探しやすくなります。
双眼鏡を使う際は太陽を見ないよう、太陽が沈んでから観察を始めるようにしてください。
また、5月2日と3日は、新月直後の細い月が水星のそばに見えますので、目印になるでしょう。
(※国立天文台の記事を一部転載しました。)