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【2022年】7月の天文現象 -天体食-
- 投稿日
- 2022.06.30
- カテゴリー
- 星空情報
クレジット:国立天文台
7月は、全国的に梅雨空が広がる季節にあたる上、まだ昼が長い時期ですので、星空を見る機会が少ないかもしれません。
それでも、晴れた日には暗くなると東の空に夏の大三角、南の空にはさそり座が見えています。
深夜になると東の空から惑星が昇り始め、数珠つなぎのように明け方の空を横断します。
6月に比べて水星は太陽に近づいたため、肉眼で見ることができるのは金星、火星、木星、土星です。
今月は、比較的明るいさそり座の恒星や、火星が月に隠される「天体食」にも注目してみましょう。
さそり座の頭の星が月に隠される「星食」
7月10日の夜、南西の空で、さそり座の頭部にあるδ(デルタ)星(2等星)が月に隠される現象が起こります。
このように、地球の周りを公転する月が手前を通り過ぎ、天体を隠す現象を、月による「掩蔽」あるいは「星食」と言います。
多くの暗い星まで考えると、夜空ではいつも何かしらの星の掩蔽が起こっていると言えますが、比較的目立つ明るい恒星で起きる現象は、観察のチャンスです。
恒星が月縁に入り込む瞬間(潜入)や、月縁から出てくる瞬間(出現)に注目してみましょう。
明るさの変わるさそり座δ星
さそり座δ星は、2.3等から1.6等程度の範囲で不規則かつ急激に明るさが変わる変光星です。
これは、高速で回転する恒星から放出されたガスが、しばしば恒星の赤道周囲に円盤を作ることで光度が変化するためとみられています。
まれに1等台の半ばまで明るくなると、さそり座の星の印象が変わって感じられるほどです。
地球から最も近い満月
地球の周りを公転する月の軌道は楕円形をしているため、地球と月との距離は一定ではありません。
さらに、月の軌道は太陽や地球などの重力を受けて変化しています。
地球に最も近い満月は、地球から最も遠い満月に比べて視直径が約12%大きく、光っている面積が約26%広い程度の違いがあります。
とはいえ、実際の夜空に月を二つ並べて比較することはできないため、夜空の月を眺めただけで大きさの変化に気づくのは難しいでしょう。
それぞれの日に、同じカメラ、同じ画角のレンズで撮影した写真を比較してみるとよいでしょう。
(※国立天文台の記事を一部転載しました。)